モデルから営業職に転身。トップセールスとして走り続け、24歳で引退し25歳で第一子、27歳で第二子を出産。子育てに奮闘しながらネイルとまつ毛エクステを猛勉強し、自宅サロンを初め、今では株式会社としてFC含め8店舗まで展開。来年にはスクール開講とサロンの新規オープン、メーカーの立ち上げを予定している。大柴ミカさんの略歴を簡単に表現すると、こうなる。女性としての幸せを掴みながら、会社を経営するというのは並大抵の事ではない。彼女の仕事に対する想いや考え方は、生き方や働き方を模索している人達の心に響くのではないか。そんな想いでインタビューをお願いした。
モデルとは対照的なお仕事ですよねモデルから営業職というキャリアチェンジって、珍しいと思います(笑)営業をやろうと思った「決め手」はなんだったのですか?
モデル時代に、いつまでこの仕事を続けられるか分からないという将来に対する不安がありました。自分自身で生き抜いていく力をつけていかないとという意識が当初から強かったんですね。私は人と話すのが好きだった。負けず嫌いな性格だったし、目標があってそれに向かって突き進んでいく事も好きだったので、営業が向いているんじゃないかって思ってはじめてみました。
モデルとは対照的なお仕事ですよね
最初は嫌でしたよ。一般的な社会経験を積んだ事が無かったし。それに、営業って女性を売っている様で周りに言うのに抵抗がありましたしね。ただ、なれなれしい私の性格が功を成して(笑)どんどん営業にのめり込んでいくようになりました。すると入社後3ヶ月目で営業所トップの成績を出す事が出来て。そこから全国で表彰されるようになったんです。結局楽しくてしょうがなくなって、夢中で取り組みましたね。 そのまま突き進んでいって、自分の中で「やりきった」というところまでやって、一回モデルに戻りました。この「やりきった」のはとても良かったと思います。自信がついたんですね。もし、何かでダメになったとしても、営業であれば食べていけるという選択肢が自分の中に出来たから。
その後25歳で出産し、今のサロン(ジューシーアイ)の前身である自宅サロンをオープンされます。
「自宅サロン」という選択をしたのは世の中の流れとしては早かったと思います。周りでやっている人は殆どいなかったんじゃないかな。もともと自分のまつ毛にコンプレックスがあったんです。そんな時、まつ毛エクステに出会って「これはいい !」ってとても感動したのを今でも覚えています。 この素晴らしさを、感動を、みんなに伝えたい!という気持で、すぐスクールを探し学びました。 当時相談出来る人も誰もいなかったんですけど、とにかく始めよう!始めたい!と言う一心で。当時は目新しかったのでいいスタートを切れたんですが、お金が続かなかった。子供たちを食べさせていかなければいけなかったし、何とかしなきゃって思っていて。毎日必死で考えてました。
そこで、自宅サロンではなくて店舗を構える事になったんですね?
そうなんです。自宅サロンでは収益をしっかりあげていく上でも限界があったので、店舗を構える必要がありました。そこで資金を何とかかき集めて、やっと35歳の9月に1号店をオープンさせたんです。でもね、実は開業前に「宅建」の資格を取ったんです。(笑)もし事業に失敗したら、不動産の営業をやろうと思って。それで、生まれて初めて本気で勉強しました。その結果、勉強を始めて1ヶ月で宅建を取る事ができました。
すごい。宅建ってかなり難易度の高い資格ですよね。もしかして、天才ですか?(笑)
いやいや、天才でも何でもないですよ。それぐらい必死だったって事だと思います。自宅サロンの営業後、家事をやって、子供を寝かせた後に、子供がお絵描きするテーブルで集中して毎日毎日コツコツと。
努力家なんですね
全く知識が無い「ゼロ」の状態だったから良かったのかもしれません。積み上げるだけですからね(笑)
宅建の資格を使う事は無く、オープンしたサロン「ジューシーアイ」は順調に店舗を増やす事に成功していますね。オープン当初はどうでしたか?
毎日必死でした。相談出来る人もいないし、ただがむしゃらにやるだけで。休みなんて無かったし、休憩も取れなくて。夜中のポスティングやビラ配りも毎日自分でやってましたからね。ただそれが、純粋に楽しかったですね。この忙しさが充実感というか。それと、お客様に本当に恵まれて。まつ毛エクステというサービス自体が新しいというのもあったと思いますが、物珍しさに来て下さって、順調にお客様が増えていった感覚があります。
2号店を出したのはいつですか?
1号店オープンしてから1年後です。店舗を増やすという事は、従業員を採用したり、物件を抑えたり、背負わなければいけなくなることが増えるんですが、もっともっとまつ毛エクステを知ってもらいたいという気持が強かったので、どんどんチャレンジしましたね。立ち止まったり、歩みを止めてしまう事自体がもったいないと思ったので。可能性があるのであれば、それに賭けようと思って。
プレッシャーはありませんでしたか?
毎日がプレッシャーでした(笑)店舗が増えてスタッフを抱えている今は、ビラ配りやってた時期なんかと比較にならないプレッシャーが常にありますよね。ただこのプレッシャーに打ち勝ち、苦労した結果が成功に繋がると思っています。壁にぶつかれば、乗りこえる。また次の壁がやってきてそれをまた乗りこえる。その繰り返しでしか人は成長しないと思います。今、毎日ブログを書いているんですけどね、基本前向きな事しか書かない様にしているんです。でもね、ブログに書けない様な辛い事も、実は毎日あるんですよね(笑)
そのモチベーションは何処から来るんですか?
当初は子供たちでしたね。いい教育をさせたい、良い洋服を着させてあげたい、おいしいご飯を食べさせてあげたいと思うのは親の摂理だと思います。今は社員達ですね。縁があって出会い、ガムシャラに頑張ってくれている彼女達を一人前にする責任がありますよね。その為にも頑張らなきゃって思っています。
社員達と接する時に大切にしていることは?
ありきたりですが、第1にコミュニケーションです。ジューシーアイは店舗ごとに月に1回、食事会を設定しています。1回で2店舗のスタッフを集めて行っていて、ジューシーアイは現在8店舗。スタッフの食事会だけで月に4回やっている計算です。すごいでしょ(笑)あと年に1回社員旅行を企画してます!近年は2年連続韓国なんですが、今年は国内で食い倒れツアーの予定です(笑)
すごいですね(笑)
どんなにITが発達してコミュニケーションツールが便利になったとしても、顔を見て話をするってとても大事な事だと思っています。そこで本音を聞けますしね。
尊敬していたり、目標としている人はいますか?
父親ですね。子供の頃から、事業を起こして奮闘している父の背中を常に見てきました。 順調なときも、ダメになってマイナスからはい上がってきた時も。それを見てきたから、何があっても私の苦労なんて大した事ないなと思えます。実は私にはこんな経験があります。小学5年の時だったかな。当時はシャンデリアの豪邸に住んでいて、高級外車のベンツが迎えにくる生活だったんです。それが、いきなりぼろぼろアパートに一家で住む事になって。 家には借金取りが沢山来る様になって、私が長女だったから、借金取りが来たら「親はいません」という係だったんです。 とても怖かったですし、大きくなった時に夜逃げをしたんだなと気づきました(笑)そんなを父を支えて来た母も母で。借金取りにおびえながら生活している時期に、父がどこからかかき集めたお金500万を母に渡して「これ以上迷惑をかけられないから、このお金で別れてくれ」って言ったらしいんですが、母はそれを頑に拒んだそうです。そうやって両親は二人で力を合わせて一緒に乗りこえてきたんです。
壮絶な人生ですね
当時は大変でしたけど、今振り返ってみると良い経験だったなって思えます。自分自身で生きる力を育んでいかなければいけないんだって、当時の経験から学んだんです。それが、今の原動力になってる。なので、物事はどう捉えるか。ポジティブである事ってスゴく大切なんです。
今後のビジョンを教えて下さい
女性の自立を応援したいというのは常に思っていて、それを実現出来る環境を作っていく事が目標ですね。企業内保育を通じて働くお母さんを支援したり、子供を預けられる環境を増やす事業をやりたいとも思ってます。私が自宅サロンをやりながら育児をしていた頃は、保育料が高いなって感じてました。ただでさえお金に余裕が無いのに。また、子供が熱を出したら直ぐに預ける場所が無かったので苦労しました。実際にそれが原因で働けないという人も多いのではないかと感じます。なので、それらの不安を解決出来る事業をする事で、女性が安心して働ける環境を築くお手伝いをしたいですね。あとは、まつ毛エクステをもっと沢山の人に知ってもらいたい。そうする事でもっと大きな市場にしたい。その為の取り組みを様々な事業を通じて今後も継続していきます。
働く女性にアドバイスをお願いします
難しい質問ですね(笑)うーん、強いて言うなら、私は周りから凄いと言われる事もあるけど、全然凄くないと思っています。何故なら、毎日常に壁にぶち当たっているから。1つ壁をクリアすればまた次から次へと壁に当たる。日々そんな事の繰り返しです。ただ1つ言える事は 、私は目の前の壁は必ず乗り越えられると思っているし、その壁に対して、どうしたら越えられるかを考え、努力して、「必ず越える」という信念を持って仕事をしています。そうする事であとから結果がついてくるんです。なので、日々目の前に立ちはだかる困難に立ち向かう事を恐れずに、チャレンジして欲しいですね。やってみてダメな事って沢山あるけど、やらなかったら前に進まないから。